勉強だけでなく、仕事や私生活でも役に立つ能力の1つが“考える力”です。この考える力が高めれば、どんな難解な問題にも挑戦することができますし、そこから新しいアイデアや発見を見つけることができます。
考える力とは、言い方をかえると『疑問に思う力』のことです。物事に対して矛盾や疑問を見つけ、それを解明していく力のことで、この力を鍛えることによって、試験などで出題される難題もクリアすることができます。
近年、頭の良い人の定義の1つは、この考える力がある人と言われています。どれだけ知識があるか・・・ではなく、どれだけ物事に対して回答にたどり着くことができるのか・・・に需要が集まっているからです。
とはいえ、考える力を測る方法というのは現在のところ具体的な方法はありません。例えば、パワーを測るのであれば、重たいものを持ち上げたりすることで測ることができますが、考える力に関しては、非常に定義が広いため、これとった基準がないのです。
そのため「考える力を鍛える」といっても、その具体的な方法というのが確立されているわけではありません。
「こうすれば考える方が鍛えられる」といった具体的なトレーニング法がないため、多くの人は、独自の方法で考える力を養おうとしています。そのため、考える力を身につけた人もいれば、なかなか思うように行かない人もいます。
では、考える力が身についた人というのは、具体的にどのようなことをトレーニングとして取り組んでいたのか?その共通点ともいえるポイントを5つ紹介します。
1.『書くこと』を意識する
現在、パソコンやスマートフォンなどの普及により、あまり『書く』という行為をしなくなりました。例えば調べものをするときにも以前は、図書館などに行ってノートなどに書いていましたが、今ではインターネットを使って検索することができるため、ノートに書く機会も激減しています。
しかし、この『書く』という行為は非常に頭を使います。
なぜなら、頭で理解できている力と、それを相手に伝える力というのは別のものであり、知っていてもそれを相手に伝えられない・・・なんてケースは少なくありません。つまり、自分が知っていることを相手に伝えるためには、相手に理解しやすいように言葉や言い回しを変換する必要があるのです。
この“変換する”という行動が考える力の訓練になります。
「どうすれば相手に伝わるのか?」
「なんていえば誤解されないか?」
などといった、相手に正確に伝達するための方法を模索します。しかも、口頭で話す場合は、イントネーションやアクセントなどといった言葉以外の部分で、気持ちを伝えることができますが、文章で書くだけしたら、こうした心情的な部分までも表現しないといけません。
このように、どんな文章でつづれば読んだ人に自分の言いたいことが伝わるのか・・・を考えることが、そのままトレーニングになります。ですので、なるべく私生活で文章を書く機会を作るようにしましょう。
最も簡単にできる方法としては、日記をつけるがベストです。さらに、必ず閲覧されるブログなどを行うと、下手なことが書けなくなりますから、よりいっそう考える力を鍛えることができます。
2.ゲームで考える力を鍛える
昔は「ゲームをすると頭が悪くなる」なんていわれた時代もありましたが、近年のゲームは非常にクオリティが高くなっており、頭を使わないとクリアできないゲームも多々あります。こうしたゲームを通しても考える力を鍛えることができます。
その典型的なのが、ニンテンドーDSで発売された「脳トレ」です。
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このゲームの発売によって、今まで子供向けだったゲームが『大人でも楽しめるゲーム』として大流行しました。しかもゲームですから、勉強の時にかかるストレスを感じることなくトレーニングをすることができます。
またゲームは「今からでも始められる集中力を鍛えるトレーニング法7選」でも紹介しているように、考える力だけでなく、集中力を鍛えるトレーニングとしても最適。さらに、素早く指を動かしたりすることから、お年寄りのボケ防止にもおすすめされています。
それ以外にもゲームで楽しく勉強できるよう学習教材用のゲームや、資格を取得したり株式投資の勉強ができるゲームが販売されたり、ゲームと教育のコラボ商品も多数世に送り出されています。
ただし、いくら考える力を鍛える訓練とはいえ、ゲームをやりすぎと本来の勉強の時間を失うことになりますのでやりすぎには注意しましょう。
それさえ気をつければゲームは、勉強で溜まったストレス発散にもなりますから、非常におすすめです。特におすすめなのは「テトリス」や「ぷよぷよ」といったパズルゲームや、推理要素が多いシュミレーションゲームです。
近年は、テレビにハードをつないで遊ぶゲーム以外にも、スマートフォンなどからダウンロードできるアプリなどもあります。こうしたゲームアプリはダウンロードするだけでしたら無料で楽しめるので、ちょっとした空いた時間に頭の体操として取り組んでみてはいかがでしょう。
3.物事を比較するクセをつける
人は、日々の生活の中で様々な選択と決断を行っています。
・朝食はパンを食べるかご飯を食べるか
・休み時間誰に話しかけるか
・帰宅したら先にご飯を食べるか、それともお風呂に入るか
・今日自宅で何を勉強しようか
などなど、細かいものを挙げればキリがありません。これらの選択や判断のほとんどは、習慣などによってあらかじめ答えが決まっているものが多いですが、この時あえて“別の選択肢”と比較をしてみてください。
例えば『朝食でパンを食べるか、ご飯を食べるか』という選択になった場合、パンを食べる時のメリット、ご飯を食べる時のメリットを考えてみるのです。また思い切って「朝食を食べない」という選択肢を増やしてもいいかもしれません。
もっと分かりやすい例を挙げると
シャープペンとボールペンの違いは何か?
自宅と図書館ではどちらが勉強がはかどるか?
半袖で外出するか、長袖で外出するか
など、普段あまり考えないようなことをあえて考えてみるようにしましょう。そして客観的に比較することで、それぞれのメリットやデメリットを頭の中で意識してみてください。
人は、ある物事の本質を見極める場合、対象が1つだとそれに対する深い知識が必要になります。しかし同じジャンルで別の対象と比較することによって、その物事の良し悪しがより明確になるのです。
無意識でスルーしていることをあえて意識する・・・それだけでも考える力のトレーニングになりますので、ぜひやってみてください。
4.少し先の未来を予想する
連日、様々なニュースが世間をにぎわしています。こうしたニュースを見て「自分には関係ない」なんて思っていませんか?実は、こうしたニュースを見ることも考える力の訓練になるのです。
特に政治や経済のニュースというのは、今は表面化しなくてもいずれ生活に少なからず影響を及ぼすことになります。以前、連日ニュースを騒がせた安保法案も
・成立したらどんなことが起こるか?
・今廃案になったらどんなことが起こるのか?
・・・といった、頭を使うきっかけになります。もちろん答えをどこかに発表する必要はないですし、その答えが合っているか間違っているかを確認する必要もありません。
大事なのは今目の前で起きていることを見て、少し先の未来を予想してみること。
別にニュースでなくても、母親が料理しているのを見て、今日の夕飯を予想するのでもかまいません。また、政治経済ではなく、自分が関心を持ったニュースであればなんでもいいので、スポーツや芸能情報でもこうした予測は考えることができるはず。
つまり、周りにある全ての情報・環境が考える力を鍛えるためのきっかけになるのです。ただボーっと過ごすのではなく、ちょっとしたきっかけを見つけて、そこから少し先の未来を予測してみるだけで、考える力は鍛えられる、とても簡単なトレーニング法の1つといえるでしょう。
5.散歩に出かける
勉強で使うための考える力は、勉強をすることで鍛えられる・・・と思いがちな人も多いようですがそんなことはありません。逆に勉強中に考える力を鍛えるのは少し難しいともいえます。
なぜなら、考える力というのは緊張している時よりもリラックスしている時のほうが、はるかに高められるからです。もっと言えば「考えが浮かばない・・・」と悩めば悩むほど考えが浮かんでこないということ。
逆に、考えるプレッシャーから開放され、ストレスがかかっていない状態のほうが良い考えが浮かびやすいことが多いのです。考えてよい案が浮かぶ場合というのは総じて脳がストレスを感じていない時であり、そういった環境をつくることが考える力を高めることにもつながります。
特におすすめなのが散歩で、考えることを生業としている研究者達も、好んで散歩をしているそうです。散歩をすることによって脳をリフレッシュさせるだけでなく、軽い運動もかねているので、脳が活性化した状態になるため、良い考えが浮かびやすくなるのです。
机にかぶりついて考えても、なかなか良い案や考えは出てこないものです。ならばいっそ環境を変える意味でも、散歩をしながら頭だけ何気なく動かしてみる習慣をつけてみてはどうでしょう。
まとめ
考える力を鍛える方法は、勉強のように教科書や参考書を使うわけでも、体を動かすだけではうまくいきません。頭を働かせる機会を多く作ることによって、徐々に鍛えられるのです。
そのためには、まず自分の中のアンテナを今まで以上に伸ばしておく必要があります。今までは気にすることのなかったものに対しても、疑問や関心を持つことが思考力を伸ばすきっかけとなります。
普段の勉強の休憩がてらにこうした思考力を高める練習を行い、考える力を底上げしてみてはいかがでしょう。