記憶力はいろいろな方法で上げることもできますが、低下することもあります。これは単純に年齢によって脳の働きが低下してしまうため、その影響によって記憶力が下がってしまいます。
しかし記憶力が低下するのは年齢だけが原因ではありません。普段の生活の中でついついやってしまうことや、周りの便利な環境に慣れてしまうと、どんどん記憶力が低下していってしまうのです。
そこでここでは、年齢以外で記憶力が低下する5つの原因を紹介します。もし自分がこれからお話しする5つの原因のうち1つでもやってしまっているのであれば、記憶力の低下につながってしまうので改善するきっかけにしてください。
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1.知ったかぶりをする
自分が知らない話や情報が目の前に飛び交っていると、ついつい知っているように話を合わせてしませんか?自分だけその情報を知っていない話をされるとまるで知っているかのように話を合わせてしまうことがあります。
ですがこうした知ったかぶりを続けていると記憶力が低下してしまいます。なぜなら、知ったかぶりを続けることで新しい情報を得る機会がなくなってしまうからです。
自分が知らないことを「知らない」と正直に言えば、その時新しい情報を正しく知る機会を得ることになります。つまり、知らないことは決して恥ずかしいことではなくむしろ脳を動かし新しい知識をいれるために欠かせないことなのです。
しかし知ったかぶりをすることで、こうした新しい知識を入れる機会を自らの手で手放すことになります。そうなれば脳に知識が記憶されないですし「記憶しよう」と脳が動かす機会も少なくなり、記憶する力が徐々に弱っていくのです。
知ったかぶりをする原因というのはいくつかありますが、一番はやはりプライドや見栄によって「知らない」ということが言えなくなってしまうことではないでしょうか?
「周りからバカにされるのではないか・・・」と思ってしまうがゆえ、ついつい知っている風に見せてしまいますが、そうすることによって記憶力が低下するとともに周りからの信頼も低下していくことになります。
“聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥”ということわざがあるように、知ったかぶりをするのをやめて、分からないことは聞いたり調べたりするクセをつけないと、記憶力が低下していくことになるので気をつけましょう。
2.あらゆることに疑問を持たなくなる
人は生きていく中で触れられる情報や知識というのはほんのわずかです。ましてや世界にあるあらゆる知識を全て吸収することなど時間的にもかなり難しいでしょう。
それこそ小学生や小学校にあがる前は、見るもの全てが新鮮なため「あれは何?」「これは?」みたいに周りの大人達によく質問していたでしょう。しかし年齢を重ねるにつれてこうした疑問もどんどん持たなっていきます。
もちろん子供の頃に比べてたくさんのことを知ったから・・・というのもあります。しかしそれ以上に、すでにある知識からある程度推測して新しい知識を得ることができるため、わざわざ疑問に持たなくても「これってこういうことじゃないの?」と見当がつけられてしまうことが大きな原因といます。
また、疑問に持つことそのものが面倒になってくることもあります。細かいところで「なぜ?」「どうして?」と思うよりも「これはこういうものなんだ」と知識としてまるっと暗記してしまったほうが簡単だということを知ってしまうため、疑問に持たなくなってしまうのです。
しかしこうした姿勢が脳を使う機会を減らすため、どんどん記憶力が低下していくのです。「あれは何?」と考えることによって脳を意識的に活動させるのですが、疑問が持たなければ当然脳の動きは鈍くなります。
さらに脳は“知らない”という状態を非常に嫌がる性質を持っています。
いい例が人に対する印象で“見た目”である程度どんな人なのかを決め付けてしまうことは誰もがすると思います。実はこれも脳がその人の見た目から勝手に印象をインプットしてしまう特徴の1つなのです。
こうした脳が勝手に知識を埋めてしまう前に、意識的に脳に“空白”を作ることを心がけましょう。例えば1つ新しい知識を入れたとしても
「なぜそうなるのか?」
「ではこういう場合はどうなのか?」
というように、常に疑問を持つようにするだけで記憶力の低下を防ぐことができます。知識を深く掘り下げることによって記憶力の低下を防ぐだけでなく、その知識に対する興味も出てきますので、“知ること”については妥協しないよう心がけましょう。
3.スマホに依存する
1.にも2.にも共通して言えることは“考えたりすることをやめると記憶力が低下する”という点です。その点からいくと、現在の社会や環境への身の置き方も実は記憶力の低下につながっていると言えるでしょう。
「人民網日」というニュースサイトに、スマホ認知症と記憶力低下についての記事が掲載されていました。この記事ではスマホの所有率と使用時間や習慣に関するアンケートを実施し、スマホの利用頻度と記憶力低下の関連性を調べた結果が載っていました。
そして記事によると、スマホを利用している人のうち60%以上の若者は記憶力が低下し、忘れっぽいという回等を得たようです。
こうしたアンケートの結果を見てこの記事の中で専門家は次のようにコメントしています。
肖准教授は、「電子機器は人類の生活に利便性をもたらすと同時に、人類の記憶力を損ねている。若者の記憶力低下は、普遍的な現象となった。記憶は技術的なものであり、刺激と訓練の繰り返しが必要だ」と指摘した。
肖准教授は、「電子機器の最大の長所は利便性であり、どこにいても必要な情報を獲得できる。デジタル製品への過度な依存、情報検索が記憶力よりも重要な位置を占めるに伴い、脳の記憶を司る部分が怠けるようになる。記憶力が十分に訓練・刺激されず怠けた状態になっていれば、記憶力は自然と低下し、集中力の欠如、記憶力の停滞、忘れっぽいといったことが起こる」と説明した。
つまり、スマホなどの便利なツールに依存し続けていると、脳で考えたりする機会がなくなるため、記憶力が低下するというもの。確かにスマホやパソコンといった便利なものがたくさんありますが、それに頼りっきりになるとどんどん記憶力が低下していってしまうのです。
事実、携帯電話が普及しだしてから電話番号を覚えることができなくなった人も多いと思います。これも「番号は携帯に登録したから」という安心感から覚える必要がなくなったため、覚えなくなったのでしょう。
社会がより便利になるのは嬉しいことですが、こうしたものに甘えっきりだとどんどん記憶力が低下していってしまいます。たまには自分で調べたり考えたりする時間を設けて、脳を動かす習慣をつけましょう。
4.睡眠不足
睡眠にはレム睡眠とノンレム睡眠の2種類の睡眠があります。そしてレム睡眠に入っている時に、脳は記憶の整理を行っており、これによって覚えたことをきちんと思い出せるようになるのです。
ところが睡眠時間が短いと当然レム睡眠の時間も短くなります。すると、新しく入った知識や情報を全て整頓することができなくなるため、脳の中で記憶が行方不明になってしまうのです。
また脳の細胞は寝ているときに新しい細胞を作り出し、受けたダメージを直してくれます。こうしたことも睡眠時間が短いと完全に修復することができなくなってしまうため、記憶力が低下していきやすくなります。
このように、睡眠不足は記憶力の低下を促進させてしまいますので、毎日適度な睡眠はとるように心がけましょう。
睡眠不足は記憶力低下も含め、勉強や仕事の効率の悪化だったり疲労回復の不十分など様々な悪影響を及ぼします。そうならないためにも毎日適度な睡眠時間は確保することが大切です。
理想としては毎日7~8時間ほど。また食後に15分くらい仮眠(昼寝)をすると頭の働きが良くなるとも言われていますので、ぜひ試してみてください。
5.運動不足
脳への刺激は、頭を使うだけではなく体を動かすことによっても活発になります。言い換えれば、体をあまり動かさないと脳への刺激が減ってしまい、脳の機能が徐々に低下する恐れがあるのです。
ある研究者が猿を使って運動と記憶力の関係性の研究を行いました。その結果、運動を規則的に行った猿とそうでない猿とでは、運動した猿の方が新しいことを覚えるのに約2倍の速さで覚えられたのです。
また規則的な運動をすることによって、脳の神経を刺激し、海馬が毎年約2%も多く成長するという研究結果もあります。つまり、運動不足は体だけでなく脳にまで悪影響を及ぼすのです。
ですので、日々の生活を見直して運動不足を解消するよう心がけましょう。ウォーキングや散歩などの軽い運動でも、脳の働きが活性化され、記憶力はもちろん判断力や集中力などがアップします。
塾に行きながら成績が上がらない子の中には、塾に通うことで運動する時間が減ったことが原因とも言われています。もし運動不足を感じているのであれば、軽いものでもいいのでこれから取り組むと、記憶力の低下防止につながりますので、積極的に取り組んでみてください。
まとめ
人の記憶はいつか忘れてしまうものですし、全てのことを完璧に覚えておくことはできません。しかし勉強において記憶力の低下は大きなペナルティともいえるでしょう。
年齢による低下は仕方がないかもしれませんが、それでも普段の生活や勉強や仕事に対する姿勢を見直すだけで記憶力がなくなっていくのを防ぐことができます。そればかりか、記憶力を徐々にアップさせることも十分可能です。
ここで紹介した5つの原因のうち、1つでも心当たりがあるのであれば、今から改善していきましょう。そうすることで記憶力の低下を防ぎど忘れなどを無くすことができます。