勉強に限らず、何かに取り組む際には集中力は欠かせません。仕事、遊び、趣味・・・何をするにしても集中力がれば、楽しんだり成果を出すことができます。
集中力は自然と出る時もある一方、意図的に出すこともできます。また、どれだけ集中力を高めないと・・・と思っていても、気持ちとは裏腹にでてくれないことも珍しくありません。
集中力をコントロールするためには、まず集中力がどういったものかを理解しておくことが必要です。そこでここでは、集中力がどういったものなのか、どのくらい持続するのか、そしてなぜ集中力が切れるのかについてお話しします。
集中力とは?
集中力とは、1つの事柄に没頭し、それ以外にものには感覚がいかない状態のことを言います。1つのことに夢中になりすぎて周りの音が聞こえなくなったりすることがありますが、これも集中力が高まっている状態の1つです。
また集中力が高まることによって、次のようなメリットが挙げられます。
1:注目する範囲が狭くなり1点にフォーカスできる
2:注意する範囲が広くなり、多くの情報を得ることができる
3:無関係なものに気が散らなくなる
この3つだけを見ると、一見矛盾した状態だと思うかもしれません。特に1:と2:では相反する状態と思われがちですが、集中力があることによってこうした状態になることが可能なのです。
通常の状態では、自分にとって必要や情報と不必要な情報が一緒になって五感から脳にインプットされます。しかし集中力が高まるにつれて、必要な情報と不必要な情報の取捨選択ができるようになるのです。
これは集中力が高められることによって五感がより敏感になるため、必要な情報の吸収力が高まり、逆に不必要な情報は遮断されるのです。そしてこうした現象は集中力の度合いによって変化し、集中力が高まれば高まるほど、情報の取捨選択の精度は高くなります。
また、集中力は自分の外側のものだけでなく内側にも向けることができます。
例えば、スポーツなどをする時に使う集中力は、視線の使い方や体の使い方などの身体能力(いわゆる行動)に影響します。逆に絵を描いたり勉強したりする場合の集中力は頭の回転や興味や好奇心(いわゆる思考)などに影響します。
ただし、行動と思考の両方を同時に集中させることは非常に難しく、ほとんどの人が集中する時はどちらか一方を無視する傾向があります。典型的なのはスポーツ選手などが経験する「ZONE(ゾーン)」で、集中力が最大限に高まるため、頭で考える前に体が勝手に動いてしまうのです。
このように、集中力によって行動や思考による結果が大きく変わってきます。そして、この集中力の大切さを知っているからこそ
「どうやって集中力を上げればいいのか?」
「どうしたら集中力が切れないのか?」
といったことに悩みを持っているのでしょう。
集中力をチェックする方法
突然ですが、まず以下の文章を読んでみてください。
ここはある工場です。現在、スマートフォンの普及により工場は忙しく稼働しています。ここで、商品Aができるまでの過程を見ていきましょう。商品Aを作るまでに必要な部品は、Bという部品が10個、C~Dという部品が1個、Eという部品が3個、Fという部品が4個です。
集中力は誰にでもあるものですし、ちょっとしたきっかけで上がったり下がったりするものです。もっと言えば、常に集中力が高い人というのはいませんし、逆に何にも集中力が上がらない人もいないということ。
それに、集中力は身長や体重と違って数字で表すことができません。そのため、自分にどのくらい集中力があるのかイマイチ把握していない人も多いでしょう。
そこで、自分の集中力がどのくらいあるのかをチェックできる質問を4つご用意しました。
なお、これから出題する4つの質問は2分以内で答えてください。また、頭の中で答えを覚えるよりも、紙とペンを用意して答えを書いていったほうがやりやすいのでぜひ用意してください。
問1:次の漢字の羅列に含まれる、「干」以外の漢字を組み合わせて出来る熟語は?
干干干干干干干干干別干干干干干干干干干干干干干
干干干干干干干干干干干干干干干干干干干干干干干
干千干干干干干干干干干干干干干干干干干差干干干
干干干干干干干干干干干干干干干干干干干干干干干
干干干干干干干干干干干干干干干干干干干干干干干
干干干干干干干干干干干干干干干干干干干干干干干
干干干干干干干干干干干干干干干干干干干干干干干
干干干干万干干干干干干干干干干干干干干干干干干
干干干干干干干干干干干干干干干干干干干干干干干
問2:写真のコインを全て足すと何円?
問3:次の表に漢字の「西」はいくつある?
西酉酒西酉酉酉酉酉 酉酉酉酉酒酒酉酉酒酒
酒酒酒酉酉西西西西 酉酉酉酒酒酉酒酉酒酒
問4:質問の前に紹介した文章の中で「商品A」を作るために必要な部品の種類はいくつ?
いかがでしたか?1つ1つの質問は決して難しいものではありませんが、時間制限があったりした関係で、答えられる質問とそうでない質問があったかと思います。
4つ全て答えられる人もいれば、1問も答えられなかった、もしくは間違っていた人もいると思います。そしてこの差は頭の良さや頭の回転の早さではなく“集中力”の差なのです。
もし1問も正解できなかったり途中で諦めてしまった場合は、相当集中力が低いと言えるでしょう。また、1問しか正解しなかった人も相対的に集中力が低い人なので、改善が必要かと思います。
ちなみに、4つの質問の答えは【問1)千差万別 問2)666円 問3)6つ 問4)5つ】です。
集中力が持続しない原因
集中力が最も高い時は何かを始めたりスタートする時です。勉強でも始めた当初は「これから頑張るぞ!」という気持ちが起こり、それに引っ張られるように集中力も上がっていきます。
ところが、スタートしてしばらく経つと、こうした気持ちはどんどん低下していきます。当然やる気によって引き上げられた集中力もやる気の低下によってどんどん下がっていってしまいます。
こうした、集中力が低下する原因として挙げられているのが『飽き』です。
人間は、何からしら行動したり考えたりすることで、五感から刺激を受け、その刺激を脳に送ります。「勉強の効率を上げるために欠かせない脳を活性化させる秘策」でもお話ししていますが、こうした刺激によって脳が活性化され、集中力や記憶力や思考力が高まります。
ところが同じような刺激を受け続けると、徐々にその刺激を受けることに慣れてきてしまいます。例えば「同じ英単語とひたすらノートの書く」といった勉強も、最初は「キレイに丁寧に・・・」と思っていながらも、時間が経つにつれて「めんどくさい・・・」という感覚が芽生えてきます。
この「めんどくさい」という感情こそが、『飽き』が生まれた状態です。そしてこうした状態になると、「やりたくない」という思いがストレスに変わり、徐々に集中力を下げていってしまうのです。
よく集中力がないことに対して「意思が弱い」「根性がない」など、その人自身に問題があるように考える人がいますが、それは大きな間違いです。集中力は『飽き』がストレスに変わることによって低下するもので、こうした状態は誰にでも起こりえます。
集中力の持続時間について
集中力とはナマモノのようなもので、上がる時もあれば下がる時あります。もちろん人によってある程度差はあるものの、誰でも集中力が切れる時はあります。
なぜなら集中力は同じことを繰り返すことによって自然と下がっていってしまうからです。取り組んでいるものに対する興味や関心によってその下がり具合は異なりますが、同じ刺激を五感から脳に送っている限り、集中力は下がることはあっても上がることはないでしょう。
では具体的に人の集中力はどのくらい持続するのか?
一般的に言われているのは45分か50分くらいで、長い人でも90分が限界です。それ以上集中力が続く人は決して多くありません。
これは学校生活を振り返ってもらうと分かると思います。学校の授業は基本的に50分ですが、これは生徒の勉強の集中力に考慮された時間で、それ以上授業時間を伸ばしても集中力が切れてしまい、効率が悪くなってしまうからです。
つまり自宅で勉強したりする時も、45分から50分くらいを1コマとして考えることが大切。例えば【50分勉強して10分休憩】を1コマとして取り組むだけで、勉強の集中力の低下は最小限に抑えられ、効率の悪い勉強をしなくてもよくなります。
逆に2時間3時間ぶっ続けで勉強をすると、経過時間に比例して集中力が低下するため、勉強した割には頭に何も残っていない・・・なんてことになります。ですので「集中力が切れたな」と感じたら、無理に頑張らず休憩を入れて気分をリフレッシュしましょう。
さらに勉強と勉強の合間の休憩には、大きな意味があります。
まず1つは、休憩を取ることで気分がリフレッシュされ、下がっていた集中力を再び高めることができるという点。10分くらいの休憩でも十分集中力は始めた当初と近い状態にまで戻すことができます。
さらに休憩中に脳を休めることで、脳が勉強で得た知識や情報を整頓してくれるという点。脳は体が休んでいる時にその日新しく入ってきた記憶を思い出しやすいよう整理してくれます。
こうした整理がされることによって、新しい記憶が入るスペースが作られるため、勉強を再開した時に勉強したことが覚えやすくなるのです。集中力の面でも勉強の効率の面でも、休憩を定期的にとることをおすすめします。
まとめ
勉強をする際に「いかに集中力を出して取り組むか」を考えることはとても大切です。しかし、集中力がいかにして出るのか、どうして切れるのかをしっかり理解している人は多くありません。
集中力の仕組みを理解することで、より上手にコントロールすることができます。集中力で本当に大事なのは「どうやって高めるか?」よりも「どのように持続させるか」ですので、ここでお話ししたことを参考に、自分なりの集中力との付き合い方を考えてみてください。