集中力をコントロールするうえで大切なのが“高め方”と“持続させる方法”の2点です。集中力が低かったら勉強をはじめ、あらゆる行動の効率が悪くなりますし、短時間で切れてしまったら、やっていたことが長続きしません。
多くの人は集中力を高める方法、やる気を上げる方法を探しています。しかし、集中力を“持続させる”方法については若干軽視されている印象があります。
特に勉強は、一朝一夕でできるようなものではありません。毎日コツコツと取り組むことによって少しずつ学力が向上していくのであり、そのためには集中力を持続させる方法を知ることも大切なのです。
集中力の持続時間については「具体的な行動をする前に知ってもらいたい集中力の基礎知識」でもお話しているように、40分から50分くらいが一般的で、90分以上続く人はあまりいません。
人間である以上、集中力はいずれ切れます。しかし、様々な対策をすることによって、40分しか続かない集中力を50分に、50分しか続かない集中力を60分間持続させることができます。
もちろん、人によって集中力の限界は様々ですし、どんなにすごい人でも2時間以上集中できる人はまずいないでしょう。ただ、自分の集中力の限界を1歩だけ超えることは可能です。
そこでここでは、集中力を持続させる効果があるといわれている6つの方法を紹介します。もし自分の集中力が短いと感じ「もっと伸ばしたい!」と思っているのなら、ぜひ勉強中やその合間に取り入れてみてはいかがでしょう。
1.集中力が切れたらガムを噛む
よく眠気を覚ましたり気分転換のためにガムを食べている人はいます。しかし、最近の研究でガムを噛むことによって“集中力の持続”と“反応力の上昇”の効果があることが判明しました。
この研究を行ったのは、イギリスにあるカディフ大学のケイト・モーガン氏で、モーガン氏は38名のボランティアを『ガムを噛むグループ』と『ガムを噛まないグループ』の2つに分け、全員に単純作業を行ってもらいました。その作業とは
30分間ランダムに出てくる偶数と奇数を見分ける
というものでした。その結果、ガムを噛んでいたグループは、総じて反応が早く正確だったのに対して、ガムを噛んでいなかったグループは、時間が経つにつれて徐々に集中力も反応も悪くなったのです。
実は人には「ビジランス漸減(vigilance decrement)」と呼ばれる刺激が弱い状況に置かれることによって、時間の経過とともに集中力が失われている傾向があります。「ガムを噛む」という行為は、このビジランス漸減を抑える効果があることをこの研究で判明したのです。
つまり正確に言うと、ガムを噛むことで集中力が上がるのではなく、集中力が低くなるのを防ぐ効果があるのです。
特に難しい用語や英単語を暗記するような単調作業の勉強をする時は、ガムを噛みながら行うと集中力の低下を防いでくれるため、効果的です。また、勉強途中に眠気が襲ってきた時も、ガムを噛むことによって眠気を緩和してくれます。
常に勉強中は噛んでいる必要はありませんが、ここ一番という時に力を貸してもらうといいでしょう。
2.今日・明日やることを書き出す
よりゴールが明確であればあるほど「そこに向かおう!」とする意思が働き、集中力が高まっていきます。これは「受験勉強のやる気を下げないために心掛けるべき3つの法則」でも紹介しているように、勉強のやる気を出すのにも最適です。
ただし、集中力を高める際には、やる気を出すときのように大きな目標や勉強する目的は必要ありません。なぜなら、その日勉強する集中力を出すためには“その日の目標”さえあれば自然と高まってくるからです。
つまり、今日やるべきことと明日やるべきことを紙に書き出すのです。
例えば今日やることとして
1時間数学を勉強する→10分休憩→英単語暗記(9分勉強→1分休憩)×6セット
・・・のようなものを紙に書いておけば、少なくとも数学を勉強している60分間は集中力が持続されます。また、こうした書き方でなくても、今日勉強することを書き上げ、それに優先順位をつけるだけでも同じような効果があります。
勉強に集中する状態を作るためには、それ以外の思考を全てストップさせることが前提です。ところが頭の中で勉強スケジュールを組んでしまうと、そのことを忘れるわけにはいかなくなるため、どうしても集中しきれず集中力が分散してしまうのです。
そのため、これから勉強すこと以外の大切なことは全て紙などにアウトプットして、忘れてもいい状態にする。それが勉強の集中力を持続させるコツでもあります。
3.集中力が上がる食べ物を摂る
集中力というのは、体の内側から出すものです。そのため、勉強の仕方や環境を変えるだけでなく“食べ物”にも気を配ることが大切です。
「集中力をアップさせてくれる4つの食べ物と3つのサプリ」でも紹介しているように、食べることによって集中力がアップする栄養素があります。その中でも集中力を持続させるのに必要な栄養素は『ブドウ糖』と『カフェイン』です。
ブドウ糖は唯一の脳のエネルギーであり、ブドウ糖が不足すると脳の働きが悪くなってしまいます。ただし、白砂糖などは吸収が早いため、短時間で血糖値が急激に変化し、それが原因で集中力を下げてしまう恐れがあるので注意してください。
ブドウ糖を摂取するのにおすすめなのは果物です。特に朝食に食べると効果的なので、朝食に必ず果物を摂るようにしましょう。
またカフェインも、集中力を高める栄養素の1つで、コーヒーや紅茶などに多く含まれています。よく眠気覚ましにコーヒーを飲む人もいると思いますが、これはカフェインが眠気を解消してくれるのです。
カフェインには、脳を覚醒させる成分として有名で、脳内でドーパミン等の神経伝達物質を分泌させる働きがあります。これらの成分によって脳が興奮・覚醒状態になり、集中力が高まるのです。
ですので、勉強の休憩にコーヒーなどを飲むと下がった集中力を再び引き上げてくれますので、おすすめです。
4.休憩の取り方を変える
冒頭でもお話しましたが、人の集中力はおよそ40分から50分くらいと言われています。しかし、その時間になったら集中力がプッツリ切れるわけではありません。
一度休憩を取ったら勉強の集中力が切れてしまう人も中に入ると思います。その原因は休憩を取る“タイミング”が良くないのです。
例えば問題集を解いていて「ここまで解いたら休憩しよう」とキリがいいところまで勉強しようとします。確かにそこまでは集中力が持続するかもしれませんが、キリよく終わったことによって達成感が生まれ、それに代わって集中力が一気に下がってしまうのです。
特に休憩を取ってから一気に集中力がなくなる人はこの傾向が多いと思います。ではどのように休憩を取ればいいのか・・・それは“キリが悪いところ”で休憩を挟むのです。
そうすることによって「勉強した!」という達成感がなく、なんとなく気持ち悪い感じが残ります。この感じが「最後までやってしまおう」という気持ちに変わり、それが集中力になっていくのです。
キリがいいところまで頑張ってしまうとついつい集中力の限界を突破してしまいます。それそれでいいことなのですが、その反動によって次の勉強の集中力が取られてしまっては何の意味もありません。
次につなげるためにも、あえてキリが悪いところで休憩を挟んでみてください。それだけで集中力は簡単に持続します。
5.照明を工夫する
「勉強の集中力を高めるために必要不可欠な3つの道具」でも紹介しているように、集中力の持続と照明とには大きな関わりがあります。つまり、部屋の明るさやデスクライトの光を変えるだけで集中力は大きくアップするのです。
人は、周りが暗くなれば暗くなるほど自然と睡眠を取る準備に入っていきます。そのため、部屋の電気をつけないで勉強机にあるデスクライトだけで勉強していると、ついつい眠気が襲ってきて集中力が長続きしません。
しかし、逆に明るすぎても実は集中力は低下します。部屋が明るくなることによって、周りに何があるのかがハッキリ認識できるようになり、余計な情報が視覚から入ってきてしまうからです。
おすすめなのは、昼間の太陽の光に似た「昼光色」や「昼白色」の照明。具体的には青白い光ではなく電球のようなオレンジ色の光の方がリラックスでき、集中力も高まります。
また、デスクライトがある場合は、それを使うことによって勉強机の上だけを強く照らすことができるため、そこに集中しやすくなるのでおすすめです。ただし、手の影ができないようデスクライトは利き腕とは逆の方向から照らすようにしましょう。
6.ストレッチをして気分転換する
勉強の休憩中にストレッチをした利など体を動かすことはとても効果的です。これは医学的にも証明されているので、休憩中は勉強していた所から離れ、体を動かすようにしましょう。
特に机に向かって勉強している場合、座って同じ姿勢で過ごすことになります。こうした姿勢を長く続けると血液の流れが悪くなります。
具体的には、まず重力に従って血液は体の下(足など)に溜まりやすくなり、逆に体の上(脳など)には血液が行きづらくなります。そのため、脳の栄養であるブドウ糖や酸素などが届きにくくなるため、脳の働きが悪くなってしまうのです。
当然働きが悪い脳を使って勉強しても効率は悪くなるし集中力だって持ちません。こうしたからだの状況をリセットするには、ストレッチなどをして脳に血液を送ってあげるようにすることが大切。
また、慢性的な運動不足を解消する意味でも、普段からジョギングやウォーキングなどをするのもおすすめです。
まとめ
集中力が切れてしまう主な原因としては、雑念が入ったり体調不良や疲労などが挙げられます。こうしたものをいかに回避するかが集中力を持続させるポイントです。
とはいえ、どれだけこうした原因を回避しても、やはりどこかで集中力は切れてしまいます。ですので、きちんと休憩を取ったりするなどして、体を労わりながら取り組んでもらえればと思います。