効率よく勉強するために知っておくべき記憶のメカニズム

勉強するうえで避けては通ることができないのが暗記や記憶といった“覚える”という行為です。勉強する教科によってその割合は変わってきますが、記憶しなくても点数が取れる教科というのはありません。

記憶できる情報量が多ければ多いほど、試験やテストで良い結果を残すことができます。そのため「いかに効率よく、そして短期間で暗記できるか?」といった暗記テクニックや、自分の記憶力をアップさせるトレーニング法などを求めている人も多いです。

しかし、ほとんどの人がどうやって情報が頭の中で記憶されるのかを理解していません。記憶できることは物心ついた時から自然とできたことなのであまり考えたこともなかったかもしれませんが、この“記憶のメカニズム”を知ることで、自分の記憶力を上げるきっかけになります。

勉強はただやればいい・・・というものではありません。限られた時間の中でどれだけの情報を理解し、頭にインプットできるかが結果に大きく左右します。

そこでここでは、人間が物事を記憶する時のメカニズムについてお話ししていきます。これを知ることによって、試験に必要な情報をすんなりインプットしたり、忘れにくくするための対策を講じることができますので、参考までに知っておいてください。

 

脳にインプットされる3つの記憶

脳にインプットされる3つの記憶

近年、脳科学は進んでいるように見えますが、まだまだ謎が多いことは変わりません。しかし、これまでの実験の中で、少なくとも記憶には3つの種類があることが判明いたしました。

その3つの記憶とは

・作業記憶
・短期記憶
・長期記憶

です。1つずつ詳しく解説していきます。

1)作業記憶

作業記憶とは別名『ワーキングメモリー』とも言われている記憶のことで、1986年にバドレーという人物が提唱したものです。作業記憶とは、理解・学習・推論などの認知的課題の遂行中に情報を一時的に保持・操作するための記憶を指します。

例えば買い物に行った時に100円のパンと150円のジュースを買ったとします。この2つをレジに持って行った時に、店員さんから合計の支払金額を言われる前に

100円+150円=250円

という計算をすると思います。この時パンの代金【100円】とジュースの代金【150円】を覚えておかないと上のような計算はできませんよね?

つまり、一時的に2つの商品の金額を覚えておくことが作業記憶となるのです。パンがいくらでジュースがいくらかを記憶していないと合計金額が計算できないように、物事を考える時に一時的に記憶としてストックしておくのが作業記憶の特徴です。

また作業記憶の特徴としては、記憶した情報が不要になったら消滅するというものです。

先ほどの例でも、自分がいくら支払わないといけないかを計算するためにパンとジュースの代金を覚えました。しかし支払い金額さえ分かれば、パンがいくらでジュースがいくらなのかは必要な情報ではないため、記憶から消してしまうのです。

もちろん情報の重要度によってはそのまま記憶しているものもありますが、そうでないものはどんどん新しい記憶に上書きされていきます。そのため、3つの記憶の中でもっとも保管期間が短い記憶といっていいでしょう。

2)短期記憶

短期記憶とは、文字通り短い時間しか覚えていない記憶のことを言います。ただし、作業記憶とは違って、体を動かしたりなどの五感を使ったものや、自身の感情が動いたものについても記憶として保存していきます。

もともと記憶には短期記憶と長期記憶の“記憶の二重貯蔵モデル”という概念があります。その中で短期記憶は新しい情報を一時的に保存して場所と定義されています。

例えば、先ほど買ったパンを食べたところ、とてもおいしいと感じたとしましょう。この時「買ったパンは美味しい」という記憶を短期記憶に保存されるのです。

しかし、常に短期記憶にその情報が保存されているわけではなく、時間が経つにつれてどんどんと忘れていってしまいます。情報を脳に入れた際のインパクトの度合いにもよりますが、早ければ20秒、長くても3週間ほどで忘れてしまうと言われています。

そして勉強なども必死になって暗記したものは、全て短期記憶に保管されるのです。そこから長期記憶に保管場所が移動しないものは、そのまま忘れていってしまうということ。

ちなみに、この短期記憶には意識的に覚えた情報だけでなく、五感で感じたことも全てインプットされます。

・目で見えるもの(視覚)
・鼻で嗅いだもの(嗅覚)
・口で味わったもの(味覚)
・耳で聞いたもの(聴覚)
・触って感じたもの(触覚)

これらも全て情報として短期記憶の中に保管されています。ただ、あまりに印象が薄かったり感情が絡んでいないものについてはすぐに忘れていってしまうのです。

3)長期記憶

長期記憶とは、短期記憶に保管されていた情報の中で、忘れずに残った記憶のことを指します。この長期記憶になった情報は『記憶の固定化』と言われ、長ければ一生忘れることのない情報となります。

長期記憶の最大の特徴は「忘れてもすぐに思い出せる」という点です。

短期記憶の場合、一度忘れてしまったものは新しく情報を入れなおさないといけません。しかし長期記憶は何かきっかけが1つあればすぐに保管してあった情報を記憶から引き出すことができるのです。

例えば昔の歌で歌詞を忘れてしまっても前奏を聞いただけですんなり歌えたりするのも、前奏がきっかけで長期記憶に保存してあった歌の歌詞を思い出すことができたからなのです。

短期記憶から長期記憶に情報を移動させるのは、さまざまな方法があります。「記憶力アップに欠かせない“海馬”を鍛えて活性化する方法」で紹介している海馬を鍛えて長期記憶力をアップさせたり、「脳の特性を上手に活用した4つのお手軽暗記術」で紹介しているような方法で暗記をしたり。

さらに長期記憶には容量の概念がないため、どれだけでも記憶しておくことができます。そのため、勉強したことをいかに長期記憶に移すかが暗記のポイントといえるでしょう。

 

記憶が脳から忘れてしまうメカニズム

記憶が脳から忘れてしまうメカニズム

何かを覚えたり暗記をする時、何度も繰り返すことが重要です。もちろんその人の記憶力によって暗記をする回数等は変わってきますが、1回で全て覚えられる人はそうはいないでしょう。

ではなぜ何かを覚える時、何度も何度も繰り返し同じことを暗記しないといけないのか・・・答えは単純で“覚えたことは必ず忘れてしまうから”です。

人が何かを記憶すると時間に比例して忘れていきます。ドイツの心理学者のヘルマン・エビングハウスが行った実験によると、覚えたばかりの情報のうち42%は記憶してから20分後に忘れてしまうのです。

さらに1時間後には56%、1日経ったら74%のもことを忘れてしまいます。こうした、記憶できている割合と時間とのグラフを『エビングハウスの忘却曲線』と言います。

暗記1

つまり、人間である以上、インプットした情報のほとんどは忘れてしまうものなのです。どれだけ再現性の高い記憶術を駆使したとしても、100%覚えているということはあり得ません。

同じことを何度も何度も暗記しなおす理由はここにあります。忘れることは人間である以上必ず侵す間違いであり、それを阻止するためには常に情報をインプットしなおし、長期記憶にする以外に方法がないのです。

全然覚えられない!暗記が苦手な人達の5つの共通点」でもお話ししていますが、暗記が苦手な人の共通点の1つに『暗記する回数が少ない』があるのもこうした背景があるから出る。忘れないようにするよりも、何度も覚え直して、長期記憶に保管場所を移動させるのが暗記という勉強の目的なのです。

 

情報を脳に記憶するまでの3ステップ

情報を脳に記憶するまでの3ステップ

五感を通してインプットした情報は、全て脳に記憶されます。そのため脳の中には、その人が今まで経験してきたことや勉強して知ったことなどが全て詰まっていると言われています。

ではなぜこれらの記憶を忘れてしまうかというと、どこにその情報があるかが分からないから。簡単に言うと脳が整頓されていないため、すぐに記憶が引っ張り出せないのです。

記憶はその人の意思で自由に情報を引き出せるようになって初めて意味を成します。では情報が記憶になるまでに、脳でどのような処理をされているのか?

これまでの研究から次の3つが脳内で行われていると言われています。

ステップ1:情報を符号化する

まず、仕入れた情報は頭の中で符号化します。パソコンでも保存したデータは全て符号化されていますが、それと同じようなことを脳で行っているのです。

そして符号化された情報を『作業記憶』『短期記憶』『長期記憶』の3種類に仕分けします。こうすることによって記憶に使うエネルギーの消費を最小限に抑えているのです。

ステップ2:符号化した情報を貯蔵する

次に符号化した情報をそれぞれ適したところに貯蔵しておきます。要は情報を重要度や保管しておく期間などによって保管するところを分けて置いておくのです。

この時の仕分けのポイントとしては“いかに印象が強い情報か”という点です。「努力ゼロでも忘れることなく記憶できる究極の暗記方法」で紹介しているような感覚や感情が強く残っている情報は一気に長期記憶に運ばれますが、そうでないものはすぐに忘れてしまうようなところに場所を移されます。

ステップ3:貯蔵された情報を検索する

先ほど保管した情報を引っ張り出す時に行われるのが検索です。よりきれいに整頓されている場所に保管されていれば思い出すのも早いですが、そうでないところに保管されている場合は思い出すのが難しかったり、探せなかったりする(=忘れる)こともあります。

また、感覚などがキーとなって情報の保管場所を見つける(=思い出す)こともあります。このように、インプットした情報をアウトプットすることができてはじめて“記憶した”と言えるのです。

 

まとめ

なぜ人は記憶することができるのか、どうすれば忘れないようにできるのか・・・こうしたことがこれまでの話の中で理解してもらえたと思います。

人はなんでも覚えることができますが、覚えた情報全てをフルに活用することはできません。だからこそ、自分にとって必要な情報や知識は、自分の脳に「これは忘れてはいけない情報なんだ」と言い聞かせる必要があるのです。

ここでお話ししたことを参考にしながら暗記をするだけでも、暗記の仕方やその効果は大きく変わってくるでしょう。これをきっかけに自分の記憶力を向上させたり効率よく暗記できる方法を模索してみてください。

>あなたは自分の頭の良し悪しが存在すると思いますか?

あなたは自分の頭の良し悪しが存在すると思いますか?

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