「記憶力はあるんだけど・・理解力が全然ない。」
「理解力があがれば記憶力も自ずとあがる。」
とういうことが言われています。
確かに、勉強するには多きく分けて2つの力を高めることが大切です。
1つは記憶力、そしてもう1つは理解力です。
理解力は、勉強だけでなく仕事や人間関係においても重要な役割を果たします。
相手の言ったことの本質を正確に把握したり、自分が伝えたいことを正しく伝えるためには理解力を高めることが重要です。
これは勉強にも同じことが言えます。そもそも試験で良い結果を出すためにはまず問題を意図を正しくくみ取る必要がありますし、そのためには理解力を向上させなければいけません。
しかし「理解力を高める」といっても具体的に何をどうしたらいいのか分からない人も多いと思います。
記憶力を高める方法は「勉強以外の時間でできる記憶力を鍛える6つのトレーニング法」で紹介しているような生活習慣を改善したり、「多くの人が実践してきた簡単に覚えられる基本的な記憶術6選」で紹介しているような記憶術を身につけるなどがあります。
ところが理解力は記憶力と違って「どれだけ覚えた」とか「これだけのことを暗記した」などというような数で測れるものではありません。そのため、記憶力とは違った方法で鍛えていく必要があります。
そこでここでは、勉強だけでなくこれからの生活でも重要になってくる“理解力”のアップさせるための勉強法や生活習慣を紹介します。特にこれからお話しする5つの方法を実践しもらえれば「試験の問題の意味が分からない」なんてことはなくなるでしょう。
「記憶」と「理解」は別々に勉強する
理解力とは、事の道理や筋道が正しく分かったり、意味や内容をのみこむことを指します。とはいえ、『理解』という概念は、心理学の1つとして研究対象とされているものの、学習や記憶に比べると解明が不十分なため、これといった定義がまだ確立されていません。
ただ、アバウトになら誰もが『理解』がどういうものなのかは想像できると思います。記憶と比較すると
名前や現象だけを覚えるだけが“記憶”
現象の原因や出来事の背景なども含めて把握するのが“理解”
・・・といったところでしょうか。こうした印象から、記憶と理解は一見相反する能力と思われがちですが、実は共通点もあります。
それはどちらも脳に知識といてインプットされている・・・ということ。
例えば、なぜ水の化学合成式が【H2O】を書くのかは、中学生であれば分かると思います。こうした理屈や背景などもすべて脳にインプットされており、いうなれば、脳に記憶されているのです。
そのため、記憶したいことの背景や原因を理解することができれば、そのものの印象は強くなり、脳にしっかり刻まれることができます。そのため「暗記したいのであれば、まずは理解しろ」と教える人も少なくありません。
ところが、記録と理解を同時に勉強すると、実はかえって効率が悪くなるのです。
なぜなら、人は記憶をする時は右脳を使い、その記憶を整理・分析するのは左脳が行っているからです。つまり“理解する”というのは左脳で行うため、記憶と同時に行うと左右両方の脳をいっぺんに使うことになります。
これが非常に効率が悪く、例えるならエアコンの温度調整を冷房と暖房を切り替えながらしているようなもの。ですので、記憶の勉強をするなら記憶だけ、理解の勉強をするなら理解だけするよう勉強の目的をはっきりさせたほうが記憶力も理解力も高まります。
時間短縮のためにまとめてやるのは効率的と思うかもしれませんが、全てがそうとは限りません。理解力を向上させたいのなら、理解力を高めるための勉強に専念しましょう。
日常からできる会話を使った理解力のトレーニング
相手の話の本質をつかむのが上手な人もいれば、苦手な人もいると思います。この両者の違いの原因こそ理解力の違いです。
相手の話を理解できない人というのは、無意識のうちに『相手が話している内容を記憶する』と『相手の話している内容を理解する』を頭の中で同時に行っているのです。そのため、どちらの働きも中途半端になってしまうため、話を完全に理解しきれないのです。
Aさんと会話をしている最中にBさんから声をかけられ、返事をしたらAさんと何を話していたか忘れてしまった・・・という人は、この典型です。もし心当たりがあるのなら、無意識に『記憶』と『理解』を同時に行っている証拠です。
こうした脳の使い方を改善するには、まず記憶することと理解することを同時に行わないよう気をつけてください。
特に最初は“相手の話の内容を記憶する”ことに集中したほうがいいです。
おすすめなのは、話している内容をメモすること。
そうすることによって、記憶は全てメモに任せ、脳は理解することに集中できるからです。ビジネスマンで商談や会議の内容をメモする人がいますが、これは理解力を高めるための有効な手段なのです。
頭の回転が早い人は、記憶をしてから理解するまでのスピードが速いため、頭の中で会話の内容を処理できるから、メモなど取らなくても正確に相手の言っていることを理解することができます。
しかし、それだけでは理解のトレーニングにはなりません。
ただ相手の話を聞いてメモをしているだけですから。
そこで「質問」をする事で深めるのです。
これが理解です。
そのためにトレーニングとして意識してほしいのが5W1Hです。
・Who(だれが)
・When(いつ)
・Where(どこで)
・What(なにを)
・Why(なぜ)
・How(どのように)
相手の話の中で足りない要素を質問をするのです。
これを日常からトレーニングがてらやることによって自ずと理解力を高めることができるででしょう。
例えば、「この前友達とカフェにいってきて楽しかった!」
のならば
・Who(だれが)・・・友達
・When(いつ)・・・この前
・Where(どこで)・・カフェ
ですね。しかしこれは曖昧なわけなのでここを具体的に深掘りすると・・
「職場の友達?」「仕事の後?」「どこのカフェ?」
というように質問をしたり
「いつもカフェいってるけどなぜいくの?」
「カフェで何をするの?」
という質問をすることができます。
そして、また相手の解答があったらまた5W1Hの質問をしていく・・この繰り返しをトレーニーングすることで理解力をあげることができるはずです。
しかし、なかなか理解できず会話が成立しないのであれば、相手に「それってこういうこと?」と聞き返したり、メモしたりするなどして、まずは相手が何を言っているのかを正しく記憶してみてください。
それから、記憶した内容をじっくり分析・整理して理解していけばいい。こうしたことを繰り返していけば、徐々に頭の回転が早くなり、いずれメモなど取らなくてもよくなります。
3.自分の経験と関連づける
言葉の意味や現象の背景などで、自分の理解をはるかに超えているものもたくさんあります。特に勉強で覚えたりしたものについては、教科書や参考書での説明文を読んでもサッパリ分からない時があるのでしょう。
そんな時は、自分の経験や知識に合わせたものに置き換えて理解するとしっくり来るようになります。
例えばビジネス用語で「顧客生涯価値」という用語があります。これの意味を検索すると次のような意味が出てきます。
企業にとってある一人の顧客が生涯にわたって企業にもたらした価値の合計を言う。企業にとっては一人の顧客から得た利益というのは大きくなることがあるが、そのような場合に一人の同じ顧客を維持するために相当の費用をかけている場合がある。このような場合の一人の顧客が生涯に企業にもたらした利益の総額から、一人の顧客を維持するために支払った費用の合計を引いて、そこから算出された数字を顧客生涯価値と言う。
引用:ウィキペディア
おそらくこの意味を読んで「あ~なるほどね」と分かる人はそうはいません。そこでこれを自分の経験や知識に合った“例え話”に置き換えてみるのです。
例えば女性の恋愛に例えてみると、この顧客生涯価値というのは
「付き合ってから別れるまでに男性にご馳走になった合計金額」
・・・という感じになります。この時、多少本質がずれていた場合は、後付で修正すればいいので、あまり堅く考える必要はありません。
まずは説明を概念的に捉え、そこから自分の経験や知識を絡めて再構築する。そうすることを繰り返すことで、理解力を高めていくことができます。
4.図やグラフを活用する
文章というのは、とても便利な情報伝達ツールですが、非常に複雑かつ多様化されているため、理解が難しい場合もあります。そんな時は文字以外の方法を駆使して理解するのがベスト。
例えば理科や数学といった教科の場合、公式や名称の暗記以外にも図形を使ったり実験による変化を調べたりする授業があります。この時、無理やり文章にするよりも、図を使ったり、目で見たものをそのままイラストなどにした方が、読み返した時に理解しやすくなります。
そもそも図やグラフというのは、文章などでは表現が難しいものを、視覚的に情報を伝達するための手段の1つです。大事なのは自分の頭の中で理解することであり、言葉でないといけないわけではありませんので、図やイラストを積極的に使うようにしましょう。
特にノートをとる場合、無理に文章にまとめず図やイラストでまとめたほうが時間もかからないですし、きれいにまとめることができます。各教科のノートの取り方の詳細は「受験生にオススメ!各教科別ノートのまとめ方のコツ」でお話していますので、こちらを参考に、自分なりのノートのまとめ方を模索してみてください。
5.理解したことを誰かに話す
意外と多くの人が、理解した“つもり”になっていることが多いです。勉強などでも「あ~これ知ってる」みたいに言う人に、詳細な説明を求めると何を言っているか分からない・・・なんてことありませんか?
頭では分かっていても上手く表現できない・・・実はこれも理解力が低い人に見られる特徴です。「自分さえ分かっていればいいのでは?」と思うかもしれませんが、試験の時に解答するためには、しっかり勉強したことを理解していないと、正解できない問題というのもあります。
頭で分かったことを確実に理解するためには、第3者にそのことを話すのが最も有効です。
これは一種のアウトプットの練習で、人に話して理解してもらえたのであれば、自分もきちんと理解していることになります。またアウトプットは「記憶するためには欠かせない質の高い“アウトプット”の仕方」でも話しているように、頭にインプットしたものを正しく覚えているかを確かめる行動でもあります。
試験やテストも結局は勉強したことを解答用紙に“アウトプット”するため、何らかの形でアウトプットの練習をしておいて損はありません。その一番手っ取りはやい方法が“理解したことを誰かに話す”です。
例えば、自分が昨日勉強したことを友達に教えるのも、理解したことを話す良い機会です。友達と勉強を教えあうことは教わる方にも教える方にもメリットがあるのでおすすめです。
まとめ
理解力を高めることによって、理解した言葉や現象などといったものをより深く記憶に刻むことができます。つまり、勉強した内容を理解した数に比例して頭の中にストックする知識が増えていくのです。
ただし、記憶力とは違って理解力を高めるテクニックがありません。そのため、時間をかけて少しずつトレーニングをしていく必要があります。
試験を突破するためには理解力の向上は必須です。そのためにも、ここで紹介した5つの方法をもとに、日頃から理解力を鍛えていってください。