「朝に勉強した方がいいっていうけどそれって本当なの?効果あるの?」
「でも、効果があるにしてもどうやって朝の勉強に取り組めばいいの?」
確かに。
人によって『勉強がはかどる時間』というのはそれぞれ異なります。
「深夜に勉強したほうがはかどる」という人もいれば「昼間の方が集中して勉強できる」という人もいるなど、ライフスタイルによってさまざまな意見がでてきますが、科学的にはライフスタイルよりも単純に「夜にパフォーマンスが上がる人」は朝方には向いていません。
そのため、これは両方やってみるというのがポイントです。
しかし、世の中の大半の人は朝型人間なので最も効率的に勉強できる時間と言われているのが早朝なのです。
いわゆる「朝勉強」と言われており、起床してから本格的に書くどうするまでの早朝の時間を勉強に充てるというのが特徴です。
ではそもそも朝勉強は果たして本当に効果があるのか?また朝勉強をするにあたってどんなことに気をつけて取り組めばいいのか・・・ここで朝勉強について詳しくお話ししていきます。
朝勉強のメリット
朝勉強とは言葉通り、朝早く起きて勉強をすることを指します。勉強を始める時間は人によってまちまちですが、早い人なら深夜の3時くらい、遅くても早朝5時には勉強に取りかかります。
この朝勉強の最大の特徴は1日のスタートが“勉強”から始まることです。一般的に起きたらまず顔を洗ったり朝食を取ったりと1日の活動準備に時間を充てます。しかし、朝勉強はそれをする前に、まず勉強をする・・・というものです。
ただ、中には寝起きが悪く起きてからしばらくボーっとする人もいるため「早朝から勉強なんかできない」なんて思う人もいるでしょう。しかし、早朝から勉強することは
1.新しい情報が入りやすい
2.静かな環境で勉強できる
3.適度な空腹感を持って勉強できる
4.限られた時間の中で勉強できる
という4つのメリットがあるのです。これらについてもう少し具体的にお話ししていきましょう。
1)頭にインプットされやすい
人は睡眠を取っている時に、頭の中の記憶を整理しています。これをすることによって、翌日新しく入ってくる記憶を置く場所をつくっているのです。
そのため、昼間や夜に勉強するよりも早朝に勉強したほうが、睡眠時間内で脳が作ったスペースをより有意義に使えるので、知識や情報が頭に入っていきやすいのです。特に記憶をつかさどる海馬は、起きてすぐの時間帯がもっとも記憶されやすい時間帯だと言われています。
そのため、夜にやっても分からなかった勉強が、早朝にやってみたらすんなり解けた・・・ということもあり得たりします。
2)静かな環境で勉強できる
帰宅してから勉強しようとする時、家族などがテレビを楽しそうに見ていると、ついつい自分も見たくなる時ありませんか?こうした誘惑の多くは雑音から生まれることが多いです。
しかし早朝に勉強すると、まだ家族は寝ていますからテレビの音などの雑音はまず聞こえません。そもそも早朝のテレビは夜のゴールデンタイムに比べて放送されている番組が限られているため、見ても面白くありません。
そのため、不要な雑音を耳にすることなく勉強に集中することができます。また朝の方が夜に比べて空気が澄んでいるため、よりリラックスした状態で勉強することができます。
単純な学習環境でいえば、早朝がもっとも適していると言えるでしょう。
3)ベストな体調で勉強できる
夜に勉強するとなると、勉強時間は夕飯を食べてから寝るまでのどこかになります。そのため、お腹がいっぱいになったり昼の活動の疲れなどが出て、ついつい眠たくなってしまい集中力が切れてしまうこともしばしばあります。
それに対して早朝の勉強は起きてすぐに勉強するため、まず体や脳に疲れは残っていません。また、起きてすぐというのは適度な空腹感があるので、勉強にはベストな体調で取り組むことができるのです。
空腹感というのは、体内のブドウ糖が不足している状態を指しています。ブドウ糖は「集中力をアップさせてくれる4つの食べ物と3つのサプリ」でもお話ししているように、脳を動かすエネルギーのため、ブドウ糖が不足すると脳は正常に働いてくれません。
ブドウ糖が少なくなると、体が危険を察知して「偏桃体」という神経細胞が活性化されます。そして偏桃体と一緒に記憶に影響される細胞までもが一緒になって活性化されるため、記憶力が向上するのです。
4)勉強時間に『リミット』がある
夜に勉強する場合、寝るまでがタイムリミットですから、就寝時間をずらすことで何時間でも勉強に充てることができます。そのため、集中力が切れてしまったらダラダラとやってしまうリスクもあります。
しかし朝勉強は、その日が始まる前から勉強を始めるわけですから、1日の予定を何も消化していませんし、消化しなければいけません。そのため1時間なら1時間でキッチリ終わらせる必要があるのです。
そのため、限られた時間内だけしっかり集中して勉強ができるため効率が良い勉強が取り組めるのです。「○時までに終わらせないといけない」という制限が、勉強に緊張感を生み出し、それによってより集中して勉強に取り組むことができます。
朝勉強をするうえでの注意点
先ほどお話ししたように、朝勉強を取り入れることによってさまざまなメリットがあります。ただ勉強時間を早朝にすることで、集中力が増したり、勉強に適した体調で挑むことができるため、自然と効率も上がっていくのです。
ただし、早朝に勉強することは決してメリットばかりあるわけではありません。
そもそも多くの人は朝起きてすぐに勉強・・・なんて習慣はありません。そのため、朝勉強に取り組むには、まず「起きてから勉強する」という生活習慣を作る必要があります。
実はこの生活習慣を確立させるために、注意しなければいけない3つのポイントがあります。この3つのポイントのうち1つでも疎かにすると、睡眠不足の原因になったりして、生活のリズムが乱れ、結果的に効率の良い朝勉強ができなくなってしまいます。
そうならないためにも、これからお話しする3つのポイントを押さえて、早朝に勉強する習慣を身につけましょう。
1)睡眠時間はしっかり確保する
朝勉強するということは、必然的に起床時間が早くなります。例えば今で7時に起きて活動していたのであれば、5時や5時半に起きて勉強しなければいけません。
起床時間が早くなる・・・ということは、今まで通り寝ていたら睡眠時間が削ることになります。しかしそれだと脳や体の回復が追い付かないし、脳の記憶の整理も終わらないため、日が経つにつれて勉強の効率は悪くなります。
そうならないためにも、就寝時間を早めて睡眠時間を減らさないようにすること。「勉強するために欠かせない集中力を高める4つの方法」でも紹介しているように、睡眠は勉強の集中力を高めるために欠かせないものですので、最低でも6時間は確保すること。
朝勉強するためには、帰宅してから寝るまでの時間の使い方も工夫する必要があるのです。
2)昼食後に仮眠をとる
朝勉強をする生活サイクルに慣れてくれば問題はないのですが、慣れるまでは眠気と戦わないといけません。特に昼食を食べた後からはお腹もいっぱいになるため、かなり強い眠気が襲ってくるでしょう。
もし眠気が襲ってきたらまよわず昼寝をして少しでも体と脳の回復に努めましょう。そうすることで、昼からの活動も積極的に行えるし、勉強だって集中力が切れることはなくなります。
ただ、夜の睡眠とは違って十分取る時間もないですし、あくまでも昼寝は“仮眠”ですから長い時間寝ないように。ベストとしては10分か15分くらいで、それ以上寝ると頭が睡眠状態に入ってしまうため、余計に脳が働かなくなってしまいます。
3)体調管理に気をつける
睡眠時間が短くなると、体の回復も完全ではなくなりますし、体の免疫も落ちてしまいます。つまり体調を崩しやすい・・・ということ。
体調が崩れれば当然勉強どころではありません。勉強に集中するどころか、勉強することすらできなくなるため、進み具合も遅くなります。
ですので、早朝に勉強する習慣ができるまでは、体調管理には特に気をつけるように。手洗いやうがいはもちろん、食べ物もなるべくバランスの良い食事を摂って体調を崩さないよう心掛けましょう。
早朝に効率よく勉強するための手順
朝勉強をすることで、集中力が増したり効率が上がることをここまでお話ししてきました。いくつか注意点はありますが、そこさえ怠らなければ、今まで以上に効率よく勉強に取り組むことができるでしょう。
ですが、ただ朝早い時間に勉強しただけでは、あまり大きな意味は持ちません。
限られた時間の中でより工夫して取り組むことによって勉強の効果を何倍にも引き上げることができます。ではどのように工夫すれば朝勉強の効果を高めることができるのか?
ポイントとしては次の4点です。
1.現状把握
2.計画
3.記憶
4.理解
そもそも勉強の効果を上げるためには、無駄な時間や作業を省き、必要な知識を頭に入れることが前提となります。そして先ほど挙げた4つのポイントは、無駄な時間を省くためのコツでもあるのです。
では、これらのポイントについて1つずつ詳しくお話ししていきます。
現状把握・・・過去問などを解く
今自分がどの問題が解けてどの問題が解けないのか?100個のうちいくつ英単語が分からないのか?こうした今の自分の学力を把握することがポイントの1つになります。
すでに覚えているものや解ける問題をいくらやっても時間の無駄です。それよりも現在できない問題を解けるようにしたり、覚えていないものを覚えるために時間を費やすことが、限られた時間を有効に使うことにつながります。
ただし、人の記憶というのは忘れるものなので、一度できたり覚えたものも、定期的に復習して忘れていないかどうか確認するようにしましょう。
計画・・・記憶と理解を分ける
勉強には『記憶する』という作業と『理解する』という作業の2つがあります。この2つの作業はそれぞれ脳の違う部分を使うため、同時に勉強することは非常に難しいです。
そこで記憶が必要な勉強と理解が必要な勉強は分けて取り組むこと。例えば最初の1時間は“理解”の勉強をして、後半の1時間で“記憶”の勉強をする・・・というように、ハッキリと分けてしまうのです。
どっちも勉強できるおいしい勉強法というのはありませんし、あったとしても効率が悪くなります。まとめて取り組むのではなく、1つずつ集中して取り組んだ方が勉強の効果は高くなります。
記憶・・・作業的に暗記を行う
記憶や暗記の勉強をする際のポイントは作業的に行うことです。記憶とは、その言葉や内容をそっくりそのまま覚えることであり「なぜそう言われるのか?」「どうしてこうなるのか?」といった深い部分まで追求する必要がありません。
そのため、とりあえず頭の中に叩き込むつもりで、作業的にどんどん進めていった方が効率的です。また、より多くの知識を暗記する方法として「脳の特性を上手に活用した4つのお手軽暗記術」などで紹介しているやり方を活用してください。
理解・・・必要なものだけに絞る
記憶の勉強をしたら、覚えたものから少しずつ理解を深めていきます。とはいっても記憶したもの全てを理解する必要はありません。
例えば人の名前の由来だったり、漢字ができた由来などを勉強しても使うタイミングはありませんから、そのまま放置し、理解しないといけない部分にだけ焦点を絞って勉強していきます。
また、理解するためにはある程度言葉などを知っておかないと、勉強が途中で止まってしまう機会が多くなります。ですので、記憶の勉強をしてから理解の勉強をする手順で進めていくのがベストです。
まとめ
勉強する時間を変えるだけでも、雰囲気や自分の気持ちが異なるため、勉強の効率もだいぶ変わってきます。多くの人が朝勉強を推奨するのは、体調の面からも環境の面からも、もっとも効率よく勉強できる時間だからです。
しかし、朝勉強がマストというわけではありません。
自分なりに効率よく勉強ができるライフサイクルが確立していれば、朝に勉強をしなくてもいいわけです。大事なのは勉強をして学力を上げることなので、自分にとってもっともベストな勉強スタイルを確立していってください。