資格を取得するための勉強は、学校の入学試験の勉強とは少し違います。勉強する内容も学校で学ぶものに比べて実用的かつ専門的なものが多いです。
基本的な勉強法や勉強に対する集中力の上げ方については、資格の勉強も学校で教わる勉強も大した違いはありません。ただ、効率面や学習効果を考えると、資格の勉強にしかできない勉強の仕方というのがあります。
そこでここでは、資格取得のための勉強と学校で習う勉強との違いを明らかにしていくのと共に、資格の勉強でしかできない最も効果的な勉強法についてお話ししていきます。
資格の勉強と学校の勉強との違い
資格を取得するにも、進学のための試験にしても、基本的にはそこまで大きな違いはありません。試験当日までに出題される範囲をいかに知識として身につけるか・・・これによって試験の結果が大きく変わってきます。
ですから、勉強の仕方についてもこれとった違いはありません。効率的かつ効果の高い勉強を続けることを心掛ければ、高い確率で試験を突破することができるでしょう。
ただし“効率的かつ効果の高い勉強”の仕方については資格取得と学校の授業とではいくつか違いがあります。
例えば勉強する内容も、学校の授業ではどちらかというと“広く浅く”といったイメージで、あらゆる分野の基礎的な部分を勉強していきます。例えば国語でも現代文だけでなく古典や漢文と言った昔の書物や文章からも出題されますが、出題されるのは、あくまでも基礎的な部分のみに留められています。
しかし資格の場合は、特定の分野から出題されるため、学校の授業に比べてあれも勉強しないといけない、これも勉強しないといけない・・・という感じではないと思います。ただし試験ではかなり専門的なところまで出題されるため学校の授業とは違って“狭く深く”というイメージでしょう。
そして、資格の勉強と学校の勉強との最大の違いは“実技”の有無です。
学校の授業では、基礎知識を学ぶことが多いため、基本的に教科書や参考書の内容をどれだけ理解できるかが試験の結果に関わってきます。そのため、これまで勉強してきたことを理解さえしていれば、大きな失敗をすることはありません。
それに対して資格は“知っていればいい”というだけではなく、勉強によって身につけた知識を「いかに活用するか?」まで問われます。例えば簿記の資格でも、簿記の書き方について知っているだけではダメで、実際に簿記が記帳できるところまでが試験の中で問題として出題されます。
こうした違いが生まれた最大の理由は、それぞれ勉強する“目的”が異なるからだと考えられます。
学校での勉強とは極端な言い方をすると“進路のための勉強”をする場所と取ることができます。
・希望の大学に進学するために高校の勉強を頑張る
・希望の高校に進学するために中学の勉強を頑張る
・希望の仕事に就くために大学の講義を頑張る
・・・みたいな。つまり、試験を受けることによって、それまでの勉強のゴールに到達するわけです。
それに対して資格は、仕事や私生活でできる事の幅を広げるために取得するものです。例えば車の免許でも、車を運転するために取得するのであり「免許を取ったから終わり」と考える人はおそらく誰もいないはず。
要するに、資格を取得することでスタートラインに立つことができるのです。
この両者の違いは、一見当たり前のように思えますが、実は勉強の仕方に大きな違いを与えることになります。
資格の勉強するうえで大切なこと
資格の勉強は基本的に任意であり、取得しないといけないものではありません。学校とは違って勉強しないと“いけない”わけではないのですが、実はこれが結構厄介だったりします。
勉強する必要がない・・・ということは、自分の意思で「勉強したい」と思わないと、勉強を始めることすらできないということ。学校では、一緒に授業を受けている友達がいるため、自然と「勉強しないと・・・」という気持ちが起きましたが、資格を勉強する際には、こうした環境を探して飛び込んでいくか、自ら作っていかないといけません。
そこで大切になってくるのは、取りたい資格との距離感です。
距離感とは、取りたい資格が自分の生活とどのくらい関連があるか・・・ということ。この距離感が近くなればなるほど、自然と勉強する意欲が湧いてきて、資格の勉強にやる気を出すことができます。
例えば、簿記の資格を取ろうと思っている人が昼間工場のラインで働いていたり、営業で外回りしていたらどうでしょう?昼は仕事をこなし、帰ってから簿記の勉強をしないといけないので、きっと仕事か勉強にストレスがかかってしまう可能性は極めて高いです。
しかしもし会社の経理に携わる仕事をしていたり、税理士事務所で働いていたらどうでしょうか?いやでも仕事で簿記を扱うわけですから、仕事を通して簿記に対する知識や経験を積むことができます。
もっと言えば、給料をもらいながら簿記の勉強ができる環境に身を置いているのです。
資格を取得するには当然勉強は欠かせません。しかし資格の勉強は専門的な知識を問われることが多いため、付け焼刃な勉強だけではなかなか取得することができません。
そのため、普段から取得したい資格になるべく近いところに身をおくことが大切になってきます。資格を取得するための学校に通うのもいいですし、思い切って就職してしまうのもアリです。
資格の勉強は、学校の勉強とは違って実際に体験しながら学ぶことができます。これは「学校では教えてくれない学習効果を上げる勉強の仕方4選」でも紹介している“感覚”と“感情”を使って勉強する典型例であり、参考書を読み漁るよりも何倍もの学習効果があります。
ですので、取得したい資格があるのなら、まずはその資格との距離感を縮めるところから始めてみてください。
時間をかけない資格取得の勉強法
資格の勉強は、ただ参考書を買って勉強するだけが方法ではありません。学校の勉強とは違って“実技”が問われることが多いため、実際に体験したりすることでも、資格の勉強につながります。
冒頭でも言いましたが、資格を取得するためにはより専門的な知識が必要になります。そのため、ただ参考書などを読んで理解するだけでなく、体や頭を動かして体験することも合わせて行うことで、効率良く勉強を進めていくことにつながります。
では具体的にどういった行動を取れば、資格の勉強につながる経験値を得ることができるのか?その方法は大きく分けて3つあります。
1)資格を取得した人の話を聞く
世の中には、自分が目指している資格をすでに取得し、それを活用している人が大勢います。当然彼らは試験を突破したわけですから、いわば“先輩”なわけです。
こうした資格を取得した人達に直接会って、色々なことを聞くことで、参考書には載っていないさまざまな知識を手に入れることができます。また、資格を取得した人が当時どのように勉強していたのか?どんな参考書を使ったのか?など、勉強の仕方なども聞けば、より効率よく勉強することができます。
もちろん、直接会わなくてもインターネットなどを使って交流をするのもアリです。特にSNSなどでは資格に関するコミュニティがあると思いますので、その中に入って、先輩のアドバイスを聞いてみてください。
2)その資格がいる仕事に就いてみる
資格は単にコレクションとして取得するのではなく、仕事などに活かすために取得します。つまり資格を取得し、それを活かして仕事をしている人もたくさんいるということ。
その人について仕事をすることで、仕事をしながら資格の勉強をすることができます。例えば宅建の資格が取りたいのなら不動産会社に入ったり、行政書士の資格が取りたいのであれば、行政書士事務所に就職したり。
このように、資格を使って仕事をしている人達と普段から一緒にいる環境に身を置くことによって、資格取得に必要な専門的な知識を経験することができます。ですので、もし取りたい資格があるのなら、その資格を使った仕事に就いてみてください。
ただし、いくら資格取得のためとはいえ、仕事中に勉強をしてもいい・・・というわけではありません。仕事はあくまで仕事ですから、その線引きだけはしっかりしておくようにしましょう。
3)お客さんとして利用する
資格の中にはお客さんにモノを売ったりサービスを提供したりすることができるものがほとんどです。弁護士や税理士といった法律関係のものはもちろん、車の整備士、ファイナンシャルプランナー、建築士などもそうです。
こうした、資格を取得した人達のサービスをお客さんとして利用するのも、実は資格の勉強の一環になります。仕事として触れるだけでなく、利用者として触れることも、資格の勉強という意味では効果的です。
お客さんとして利用することで、資格を持つことによってできるサービスを受け、その資格の特徴などを体験することができます。また、資格を取得することで何ができて何ができないのかを知るきっかけにもなります。
サービスを利用するためお金はかかってしまいますが、資格の勉強のモチベーションアップにもつながるので、生活で必要だと感じたら、ぜひ一度受けてみるといいでしょう。
まとめ
資格は取得することで目的達成なのではなく、取得してからがスタートになります。でなければ、一生懸命勉強した意味がなくなってしまいます。
資格の勉強は学校の勉強に比べてより生活に密接しています。そのため、参考書を読むだけでなく、実際に体験して学ぶことができる点もたくさんあるため、こうした体験を活用すれば、学校の勉強ほど机にかぶりつかなくても試験を突破することができるでしょう。
ただしだからといって、どんな資格の試験も決して簡単ではありません。
本気で資格を取得したいのであれば、しっかり集中し、効率よく勉強することが絶対条件ですので、その姿勢だけは忘れないでください。