脳の活性化や学力アップに効果的と言われているのが速読です。速読は本や文章を速く読む技術であり、それによって読書や勉強の時間を短縮することができます。
もちろん、ただ速く読めるようになるだけでなく、書かれている内容の理解度も上がるとともに、より多くの情報を手早く処理することもできます。こうした効果があることから、現在速読を取り入れている学校や進学塾も珍しくありません。
では速読をマスターするためにはどういったトレーニングが必要なのか?ここでは、速読における基本的な読み方を紹介するのと共に、2つの効果的なトレーニング法についてお話ししていきます。
速読の基本練習4ヶ条
具体的なトレーニング法を紹介する前に、まずは基本的な速読の練習方法からお話ししていきます。速読はより速く文章を読み、理解する技術のことであり、ただ単純に端折って読むななめ読みや飛ばし読みとは異なります。
つまり、どれだけ速く読んでも、書かれている内容をきちんと理解しないと速読ではないのです。
速読は運動と一緒ですぐにできるわけではなく、少しずつ体にやり方を刷り込むことによってできるようになっていきます。そのため、速読をマスターするためには、まずはトレーニングを積む必要があります。
そのトレーニング方法も、提唱している人が違えば効果もさまざまです。例えば読むスピードが5倍くらいまで上がる方法もあれば、20倍以上上げることができる方法もあります。
そして勉強スポーツと同じで、速読にも『基本』というものがあります。どんなトレーニング法を実践してもこの基本を理解していなかったら習得まで時間がかかってしまいますので、まずはこれからお話しする4つの速読の基本を知っておきましょう。
1:簡単な本から始める
本にも簡単な本から難しい本までさまざまあります。そして難しい本になればなるほど“読む人”に対して持っている知識や情報を求めてきます。
例えば英語がサッパリ分からない人が英語の本を読んでも何が書いてあるか分かるはずがありませんよね?つまり本の難易度というのは、自分が持っている知識や情報のストック量によって変わってくるのです。
そのため、速読の練習をする場合はなるべく自分が読みやすい本を選ぶようにしましょう。自分が読めない本を無理やり速読してもそもそも言っている内容が理解できないため、トレーニングになりません。
あくまでも速読の練習ですから、普通に読んで理解できる本を使ってトレーニングするようにしましょう。
2:全部読まない
特に自己啓発やビジネス書というのは、自分にとって大事な部分とそうでない部分にハッキリ別れることが多いです。そのため、自分が共感できなかったり興味がないところを読んでも得られるものが少なくただ時間だけかかってしまうことになります。
「せっかく買ったんだから全部読まないと・・・」と本に対して元を取ろうと考える人もいるかもしれませんが、興味のない部分を読む時間のほうがよっぽどもったいないです。読書はあくまでも自分が満足すればそれでOKなので、まずは自分が共感したり読みたい部分だけ読むようにしましょう。
3:見出しを拾い読みする
本を読む時、多くの人は一字一句逃さず読んで、全てを理解しようとする人がいます。確かにそれもいいのですが、だいたいこうした読み方をする人は、本の分量に圧倒され、途中で読むのを諦めてしまう傾向があります。
そういった挫折を防ぐためにも、まずは見出しを拾って読んでみてください。そうすることで読むべき個所が一気に減るため、途中で諦めることがなくなります。
ポイントとしては新聞を読むような感じで見出しを拾い読みすること。新聞を一字一句読む人はほとんどおらず、だいたいの人が見出しを読み、気になる記事をさらに詳しく読もうとします。
本も一緒で、まずは見出しを拾ってから、自分が興味のある部分だけをさらに深堀して読むと、短い時間できちんと内容を理解することができます。
4:視野を広く保つ
多くの人が本を読む時、声には出さずとも頭の中で文章をつぶやきながら読んでいると思います。そうすることで読みながら内容を理解することができますが、視野がせまくなり、文字を追いかけてしまい時間がかかってしまいます。
それに対して速読ができる人達は、頭で文章をつぶやくことはしません。視野を広げ、目に飛び込んできた文字を一瞬にして拾い上げ、そこから意味を理解しているのです。
分かりやすく言うと、本のページを“画像”として記憶しているということ。そのため、目を動かす時間が省け、より短い時間で内容を理解することができるのです。
4分でできる速読トレーニング
この速読法は、『プロは語る ―とっておきの知恵』という本に書かれているもので、それぞれのテーマを当代一流の人達に執筆を依頼して書いてもらったものの中に紹介されたものです。この方法を紹介してくれたのは、速読でギネス記録を所持しているハワード・スティーブン・バーグ氏で“4分で読むスピードを上げることができる”というものです。
【中古】 プロは語る。 とっておきの知恵 /サマンサエトゥス(編者),倉田真木(訳者) 【中古】afb |
この方法は、1分ごとに読むスピードを変えることで速読のスキルを身につけようというもの。わずか4分のトレーニングのため、劇的なスピードアップは見込めないものの、継続して取り組むことで徐々に速読ができるようになることが期待できます。
それぞれ1分ごとに次のことを意識しながら読むことを指示しています。
1分目
普通に読んでいる速度で読む。この時1分でどのくらい読めたかを測っておくこと。
2分目
通常読んでいる速度の倍の速度で読む。速度が速くなることによって内容の理解度は下がるが、気にする必要はない。
3分目
通常読んでいる速度の3倍の速度で読む。速度が速くなることによって内容の理解度は下がるが、気にする必要はない。
4分目
内容が理解できる速で読む。すると1分目に測った時よりも読むスピードが上がっている。
15分つまみ読み法
このトレーニング法は「小鳥ピヨピヨ」というブログで紹介された方法で、15分ごとに時間を区切ってつまみ読みをすることで行う速読練習法です。この方法をマスターすれば、本1冊を読破するのに遅くても50分、早ければ5分で読めるようになると言われています。
この速読法の特徴は、自分の読みたいところだけをピンポイントで読む方法です。そのため、実際に読んでいない部分もでてきますし、本当に必要な情報を拾い出すことができない可能性だってあります。
しかし、読書の本質である「読んで満足する」に重きを置いているため“本を読んだ”という達成感や満足感は得られます。興味ある本を通読する前準備としては最適な読み方といえるでしょう。
手順としては次の5つです。
ステップ1:4~5回パラパラめくる
目次を見たり見出しを拾い読みするのではなく、まず読みたい本をパラパラめくります。めくり方にルールはなく、逆からめくっても問題ありません。
これをするだけで、スムーズに本を読むことができるようになります。これはパラパラ本をめくることによって、目が文字の並びに“なじむ”からだと考えらえています。
例えば英語であれば、普段から単語を目にする機会が多いため、勉強を始めてもすんなり理解できたりします。ところがフランス語やスペイン語といった、私生活の中であまりなじみがない外国語を学ぶ時は、英語ほどすんなり理解できる人はそういません。
このように、人はより身近に感じるものやなじみがあるものに対しては、スムーズに入り込むことができるのです。こうした“なじみ”を作るために、まずは本をパラパラめくりましょう。
もちろんページが飛んだりしても気にする必要はありません。むしろ目で文章を追ってしまわないように意識してパラパラめくったほうが効果的です。
ステップ2:本文以外のところを読む
パラパラめくったら、今度は本文以外のところを15分間好きなだけ読みましょう。具体的には目次・前書き・後書き・著者紹介・帯などです。
別にこれら全部を読む必要はありません。好きなところを好きなだけ読めばいいですし、読みたくなければ飛ばしてもらってもかまいません。
ステップ3:タイマーをセットする
おすすめは15分ですが、絶対に15分でないといけないわけではありません。5分でもいいですし、20分でもかまいません。
ただ、あまり長すぎると読むことに疲れてしまう恐れがあるので、長くても20分以内に抑えておくのがいいでしょう。
ステップ4:興味がある箇所を読む
タイマーをスタートさせ、時間の許す限り読書をします。この時、興味を引いた文章や段落などがあればそこから読んでいくのがベスト。
この方法で読んでいると、頭がぼんやりして本の内容が全く入らない部分がいくつか出てきます。その部分をいくら理解しようと思うと、時間がかかってしまうため、あえて飛ばしてすんなり読める部分だけ読むようにしましょう。
もし読むのに詰まってしまったら、目次から興味がある部分を探したり、何ページか飛んでみたりなどして興味があるところまで進めましょう。そしてタイマーが鳴ったらとりあえず終了します。
ステップ5:もっと読みたいかを自問自答
時間内の読書だけで満足できない場合、その本の中にまだ自分が興味を引いている部分があることなので、再びタイマーをセットして読書を継続します。また「全部読みたい!」とおもったのであれば、タイマーをセットせずにじっくり腰を据えて読むのもOK。
逆に「もういいかな」と思ったら、その本で読みたい部分は全て網羅したことになりますので、その本をもっと読む必要はありません。
まとめ
ここで紹介した2つの速読トレーニング法は、あくまでも速読ができるようになるための方法論でしかありません。それ以外にも「60分で速読をマスターする教材「プチ速読」の上手な活用法」など、さまざまな練習法がありますので、色々探してみるといいかもいいでしょう。
ただ、前半部分でお話しした基本についてはしっかり押さえておくことをおすすめします。どんな練習法にせよ、4つの基本を押さえておくことで速読の効果はもっと上がります。
速読はやり方だけ知っていても読むスピードが上がるわけではありません。少しずつでもいいので練習を実践してしっかり速読をマスターしてもらえればと思います。