一言に記憶と言ってもさまざまなものがあります。人の名前や意味といった文面の記憶だったり、これまで生きてきた中で実際に行動したことやハプニングなどの経験の記憶だったり。
また、人の顔や風景などの映像やイメージの記憶というものもあります。これらの記憶は一見バラバラのように見えて、実は1つ1つが連結しているのです。
その中でも最も簡単に記憶できるのが、映像などの記憶、いわるゆ“イメージ記憶”です。このイメージ記憶を軸としてさまざまな記憶を連想させることで、より多くの記憶を頭に定着させることができ、記憶アップにつながります。
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このイメージ記憶を究極に極めると「瞬間記憶能力者から学ぶ記憶力アップのコツ3選」で紹介したような、見たものを一瞬で画像として頭にインプットすることができます。現実として瞬間記憶能力を持つことはできませんが、イメージ記憶を高めることによって記憶力をアップすることはできます。
しかし多くの人はイメージ記憶を無意識のうちにやっているだけで、その特徴などを理解している人はほとんどいません。そこでここでは、記憶力アップにもつながるイメージ記憶を高めるトレーニング方法について紹介していきます。
イメージ記憶を高めることができれば、見たものを短時間で頭の中にインプットすることができ、忘れにくい記憶として定着させることができます。これからお話しするトレーニング法を参考に、自身のイメージ記憶を高めて、試験突破に必要な記憶力アップにつなげてください。
イメージ記憶とは?
イメージ記憶とは、知識や情報を文面としてではなくイメージとして記憶することです。実は現在公開されている暗記方や記憶術のほとんどはイメージ記憶で覚えます。
その理由は、文面を覚えるよりもイメージで覚えたほうが簡単に記憶に残することができるからです。例えば「りんご」を記憶する時、リンゴができるまでの過程や具体的な種類から「りんご」にたどり着く人はまずいません。
それよりも「赤くて丸いフルーツ」という言葉から頭の中にその映像をイメージして記憶している人がほとんどのはず。つまり、人間の99%は記憶をイメージで脳に定着させているのです。
ですから「イメージ記憶」といっても実は特殊なものではありません。人やモノの名前はもちろん、地名やその他の記憶もすべて文字ではなく映像とリンクさせて記憶しています。
さらに、正しい映像が分からない場合は脳が勝手に映像をイメージしてそれにリンクさせて記憶しています。
例えば、聖徳太子の肖像画を見たことがない人は、頭の中で勝手に聖徳太子の顔をイメージして記憶しています。この時、イメージが肖像画と正しいかどうかは問題ではありません。
もちろん、正しい映像(イメージ)と名称をリンクさせるのがベストですが、映像がないものについては勝手にイメージをつけてしまうのも方法の1つです。このように、今持っている記憶のほぼ全部がイメージ記憶であることを理解しておきましょう。
勉強でイメージ記憶が使われない理由
先ほども言いましたが、それぞれの人が持っている記憶のほぼ全てはイメージで記憶しています。しかし唯一といっていいほどイメージで記憶しない例があります。
それが“勉強する時”です。
人は何かを記憶する時、必ずその知己や情報にリンクした映像(イメージ)を具現化し、それに紐付けて覚えます。もし映像がない場合は、脳が勝手にイメージしたものに紐付けされます。
ところが、いざ勉強する時になると、ほとんどの人はイメージではなく文章などの文字で記憶しようとします。なぜなら、勉強で記憶べきものの多くは抽象的で頭の中でイメージすることができないからです。
数学の公式だったり、英単語だったり、漢字など、文字からイメージできる映像を作るのが非常に難しいため、文字を映像として記憶するしか方法がなくなります。しかしそれは、瞬間記憶能力者と同じような記憶の仕方であり、普通の人はかなり難しい記憶の仕方になるのです。
そのため、普段の私生活に起こったことは意識しなくても記憶できないのですが、勉強になると記憶力が一気に落ちてしまうのです。勉強で知った言葉や文章にリンクするイメージがつくれないため、思い出すフックがないのです。
つまり、勉強で得た知識や情報を忘れないようにするためには、勉強で知った言葉をイメージに変えれるようになることが必須なのです。
これができなければ、どれだけ一生懸命覚えてもすぐに忘れてしまいますし、逆にこれさえできれば、長期間脳に留まってくれます。ですから、勉強で見かけた文章からイメージを作り出す練習が必要なのです。
イメージ記憶を高めるための訓練
記憶力をアップさせるためには、文章や文字から明確なイメージができるようなることが大切です。そうすることによって、イメージと記憶がリンクし、脳に定着させることができます。
脳に記憶させるには、文字や文章だけよりもイメージをプラスして覚えることが必須です。文章にすると難しそうに思えますが、実はそこまで難しいものではないのです。
例えば『渋谷』という言葉からどんなイメージをしますか?
駅前のスクランブル交差点をイメージする人もいれば、ハチ公の銅像を創造する人もいます。また地理的な特徴ではなく“若者が多い”といったイメージを抱く人も少なくないでしょう。
このように、現在巷にあふれている名称や文字にはそれぞれ“イメージ”が定着します。
日常生活で入ってくる知識や情報を記憶するのは、こうした世間のイメージを頭に思い浮かべればいいため、あまり苦労することなく覚えることができると思います。問題はこれを勉強の時にできるかどうか・・・です。
先ほども言ったように、勉強の中で出てくる言葉や文章の多くは抽象的で、映像でイメージしにくい特徴があります。つまり、抽象的な文章から以下に具体的なイメージを頭の中で作り出せるようになれば、記憶力はアップしていきます。
そこでイメージ力をアップさせるための訓練をここで3つ紹介します。どれも今すぐに始められる簡単な方法なので記憶力アップのためにぜひやってみてください。
1)動物を描いてみる
まず頭の中で好きな動物を思い浮かべてください。どんな動物でもいいですが、理想としては4足歩行(犬や牛など)が書きやすいでしょう。
この時、何かしゃしんやイラストを見て書くのではなく、頭の中でイメージしたものをそのまま描きましょう。これは「記憶するためには欠かせない質の高い“アウトプット”の仕方」でもお話している質の高いアウトプットをするためです。
この時、顔・胴体・脚・尻尾などを各パーツに分けて頭の中で見ていきます。そしてそこから描いた牛を解体していきます。
もちろんよりリアルに描くことがベストですが、リアルに描けば描くほどグロテスクになっていくと思います。しかし、イメージが衝撃的であればあるほど脳が刺激され、イメージする力が向上していきます。
ですので、臓器や脊髄などが出ているシーンなども思い切って描いてみてください。かなりショッキングな絵になりますが、より詳しくイメージするためにはできるだけリアルに描くことを心がけてください。
2)植物をイメージしてみる
先ほどの動物の絵を描いてそれを切り刻んでいくのが抵抗ある人は、こちらの方がおすすめです。例えば頭にポッと思い浮かんだ植物を頭の中にイメージしてみるだけでもイメージ力がアップします。
この時、もし思い浮かんだ植物の正しい映像を知らない人は、本やインターネットなどで調べて正しい映像を記憶しましょう。この時、花だけでなく茎、葉、枝などといった詳細な部分もしっかりチェックすること。
そして、細かい部分まで確認したら改めて頭の中でその植物をイメージします。この時“画像”としてではなく立体映像としてイメージするのがポイント。
そのイメージした植物を拡大したりくるくる回したりなど、あらゆる角度から観察してみてください。さらに背景まで変えられると、イメージ記憶する力はかなり上がってきたといえるでしょう。
3)瞑想を行う
イメージする力を蓄える最もおすすめな方法が“瞑想(メディテーション)”です。この瞑想をすることによって脳の力がアップし、それに引きつられて記憶力もアップします。
瞑想の仕方については特に決まりはありません。やり方が分からない場合は下の映像を参考に瞑想をしてみてください。
この時ポイントとしては、リラックスすることを心がけること。瞑想中に緊張すると心身に悪い影響を与えてしまいます。
理想としては10~15分起きてから取り組むのがベスト。もちろん1日だけやってもたいした効果は得られませんから、毎日やるよう心がけましょう。
瞑想はイメージ力や記憶力のアップにもつながりますが、集中力も高まり、心も穏やかになります。また緊張を取り除くことですばらしい効果がありますので、ぜひ生活サイクルの1つに組み込んでもらえればと思います。
まとめ
言葉や文章からイメージする力というのは、勉強に大きな役割を果たします。特に記憶力については大きな関係があり、より具体的なイメージができればできるほど、記憶力はアップしていきます。
勉強したことを暗記したり記憶したりすることは、試験を突破するためには軽視することができません。ただ暗記法や記憶術を身につけただけでは記憶力の大幅なアップは見込めないのです。
また、いくら記憶力がアップする方法を知っていても、それを実践しなければ意味がありません。記憶力をアップさせたいのであれば、ここで紹介したことをとりあえず実践してみてください。